BRENWADIR(ブレンワディル)Tシャツ ヴィンテージアイスグレー

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1980年。校庭に砂ぼこりが舞い、ランドセルの背に夕陽が沈むころ、太田少年はまっすぐ家に帰らなかった。文房具屋のガラス越しに、煌めくメッキのロボットが並んでいる——クラスの誰もが一体は持っている超合金。放課後の話題はそれで持ちきりで、休み時間には机の上で関節をガチャガチャ鳴らす音が、小型ラジカセのシティポップといっしょに教室の空気を揺らしていた。
「うちはダメだ。」
台所で母がそう言うとき、コンロの上ではやかんが笛を鳴らした。父は散髪屋の椅子を拭きながら、「そのうち、な」と笑ったけれど、その“そのうち”はなかなか来ない。ウォークマンの広告がまぶしい商店街を抜ける帰り道、太田少年は胸の奥で鈍く疼く“欲しい”のかたまりを、ぎゅっと握りしめて歩いた。
でも、どうしても欲しい。お金はない。
なら、作ればいい。
日曜の昼下がり、理容室の奥の物置で、彼は真っ白な紙粘土を広げた。父の使い古した櫛で溝を刻み、母の菜箸で穴を開ける。新聞紙の上で乾いていく塊に、少年は息を吹きかけた。教室の友だちが持つ超合金よりも、少し背が高く、胸の装甲は分厚く、背中には風を切るための翼が生えている——そういう“自分だけの最強”を、どこまでも真剣に思い描いた。
名前が必要だった。
彼ははさみで切った紙片に、鉛筆でゆっくり書いた。
——ブレンワディル。
発音してみると、舌の上で風が生まれるような音がした。教室で呼ばれる点呼の代わりに、ひとりで名前を何度も呼んだ。「行け、ブレンワディル!」 紙粘土は軽いはずなのに、掌のなかでずっしりとした重みがした。乾くたびに細部を彫り直し、絵の具で銀と群青を塗った。窓の外では、近所の兄ちゃんがゲームウオッチをピコピコ鳴らしている。時代の音が重なる中、少年は自分の時間だけを濃くしていった。
完成の夜、父は椅子に腰かけ、掌のロボットをしげしげと眺めた。
「こいつは、風を操った必殺技を出しそうだな。」
「風の戦士なんだ。」太田少年は胸を張った。「ブレンワディル。」
1980年の冬から春へ。クラスメイトの超合金は新作が出るたびに入れ替わり、箱から箱へと名前が移っていった。けれど、太田少年の机の引き出しには、変わらずブレンワディルが立っていた。テストで間違えた×印の赤、給食の匂い、ストーブのパチパチという音、その全部を金属ではなく紙粘土の肌で覚え込みながら。
年月が流れ、昭和は過ぎ、理容室の鏡は新しくなった。回転灯は同じ色で回るけれど、切る髪の色も話題も変わっていった。やがて店の棚——櫛とブラシのあいだ、小さなガラスケースの中に、手のひらサイズの英雄が戻ってきた。
今、太田理容室に入ると、ドライヤーの低い風音の向こう、ケースの中で小さな旗が揺れている。説明書きにはこうある。
——風の戦士ブレンワディル。
——1980年、少年の手で生まれた粘土のロボット。
——願いと手仕事でできている。
髪を切りに来た小さな子が、鼻をガラスにくっつけて訊く。
「これ、売ってるやつ?」
「いえ。」店主は微笑む。「うちの一番古い、新作ですよ。」
ハサミがチョキンと鳴るたび、ケースの中の神は、見えない風をまとって立ち続ける。あの年の砂ぼこり、放課後の陽、ラジカセの歌、買えなかった痛みと、作れた誇り。その全部を、いまも軽い粘土の体にしまって。

design and text 長次郎製作所 @chojiro_seisakusho

このTシャツのアートワーク、ストーリーは、
ニューオダ理容室/MIRRORの隣、
新店舗改装ワークショップの為に
長次郎製作所、脇田隆彦さんより寄贈されたフィクションです。



厚さ : 6.6 oz
組成 : 綿100%
生産国:中国
丸胴
※染め製品の特性上、色の風合いやサイズ感に個体差がございます。
※顔料染めの特性上、水や摩擦などにより、色落ちや移染することがあります。
※洗濯時、白物や淡色物と一緒に洗うと色移りすることがあります。

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